おかしな話

更新:2025年10月01日

お菓子のこと

揚げるか、焼くか。えびせんが変わる

秋の夜、テレビを眺めながら無意識に手を伸ばすお菓子。それが「えびせん」だった、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。軽やかな食感と香ばしい風味は、一度食べ始めるとつい手が伸びます。「やめられない、とまらない。」という有名なフレーズが長く語り継がれてきたのも、うなずけます。けれど、えびせんの姿は一つではありません。揚げてふわっと膨らませたものもあれば、焼いてパリッと仕上げたものもあります。

東南アジアのえびせん―クルプック

インドネシアやマレーシアなどで親しまれるクルプックをご存じでしょうか。クルプックとは、タピオカ粉などのでん粉にえびや魚のすり身を混ぜ合わせ、薄く成形して乾燥させたのち、油で揚げて大きく膨らませるスナックです。なかでもクルプック・ウダン(えびのクルプック)は、いわゆる“えびせん”の系譜にあり、料理の付け合わせやおやつとして楽しまれています。油で揚げることで、ふんわりとした食感が生まれます。

同じでん粉、違う製法――山三商会の「押し焼き」えびせん

“揚げてふわっと”もおいしいけれど、“焼いてパリッと”には、また違った良さがあります。山三商会のえびせんは、油に頼らず、熱と圧をかけて焼き上げる“押し焼き”に特化しています。でん粉の状態を見極めながら、水分や焼き時間を丁寧に整えることで、香ばしく、軽やかな歯ざわりに仕上げています。同じ素材でも、つくり方ひとつで食感の表情はがらりと変わります。午後のおやつにも、晩酌のおともにも、ついもう一枚に手が伸びる――そんな“パリッ”を大切にしています。

山三商会のえびせんづくり―焼いて引き出す軽さ

山三商会は、配合や生地の水分、焼き上げの加減を確かめながら、香ばしく、軽やかな歯ざわりを守っています。商品開発では、おいしさを引き出す食感や香りに合わせて大きさや厚みを工夫し、 “揚げてふわっと”に親しみがある方にも、“焼いてパリッと”の良さを、そのまま楽しめるように心がけています。

今日も、軽やかに

揚げるか、焼くか。その工程の違いが、えびせんの表情を変えていきます。山三商会では、専用設備とていねいな工程管理で、押し焼きの軽やかさを追求しています。最初のひとかじりで香りが立ち、肩の力がふっとゆるむ——そんな瞬間を思い描いています。次のひとかじりが、また誰かの小さな笑顔につながりますように。