更新:2025年10月20日
えびせんとタピオカ ― 世界をつなぐ”お菓⼦の親戚”物語

秋の空気が澄んで温かな⼀杯がうれしい季節。タピオカのホットミルクティーはブームを経て、いまは定番の⼀つになりました。あの、もちもち⾷感は、根強い⼈気がありますね。
⼀⽅で、昔から親しまれてきた「⼤判のえびせんべい」。パリッと軽やかな⼀枚は、世代を超えて記憶に残る味です。いまではコンビニやスーパーなどで、いつでも⼿に取れる⾝近なおやつになりました。
もちもちと、パリッ。まったく正反対の⾷感を持つ、この⼆つのお菓⼦。⽣まれた国も、⾷べられ⽅も、⾒た⽬も異なります。ですが実は……この⼆つに、意外な共通点があることをご存じでしょうか?
ふたつを結ぶ「でんぷん」
その共通点とは、「でんぷん」です。でんぷんは、植物由来の炭⽔化物です。

「えびせんは⼩⻨粉でできている」と思っている⽅も多いようですが、 実は、⼭三商会のえびせんの主原料には⼩⻨粉を配合していません。⾵味付けの醤油に⼩⻨由来成分が含まれますが、あのパリッと⾷感を⽣み出しているのは、「でんぷん」。そして、タピオカの“もちもち”も、「でんぷん」によるものです。
同じ「でんぷん」という素材から、まったく異なる⾷感が⽣まれる──これこそが、でんぷんの持つ⾯⽩さです。
でんぷんは世界各地で⾷品づくりに⽋かせない存在です。乾燥条件や加⼯⽅法次第で、⾷感は軽やかにも、もちもちにも変わります。それぞれの⽂化に根ざした⾷べ⽅が育まれてきたのです。
⾷⽂化が映す“遠い親戚”?
こうして⾒てみると、えびせんとタピオカは「遠い親戚」のような存在です。
⼤判のえびせんは⽇本でも屋台や家庭で⻑く親しまれ、タピオカは国際的なブームとなりました。共通の素材から⽣まれながら、国も時代も異なる場所で、⼈々に異なる形で楽しまれてきました。
⾷⽂化の広がりや多様性は、こうした”つながり”からも読み取れます。お菓⼦や⾷べ物は、単なる嗜好品にとどまらず、世界を結びつけるストーリーを秘めているのです。
えびせん、世界 8 カ国へ
えびせんは⽇本でも独⾃に育まれてきたお菓⼦です。⼭三商会が OEM で製造する商品は、取引先各社の輸出により、現在は台湾・アメリカ・タイなどを含む世界 8 カ国へ展開されています。こうした広がりは、えびせんがタピオカと同じくグローバルな⾷品⽂化の⼀員へ歩みを進めていることを物語ります。

⾝近なおやつが「世界とつながる味」に
ものづくりの現場から⾒ると、タピオカとえびせんは、でんぷんが⽣む⾷感の可能性をあらためて教えてくれます。世界を⾒渡せば、でんぷんからさまざまな⾷感が⽣まれています。⼭三商会は、そのなかで独⾃のえびせんを作り続けてきました。
えびせんの歩みをたどるほど、⾝近なおやつが「世界とつながる味」として⾒えてきます。知るほどに、いつもの⼀枚がちょっと誇らしく感じられるのです。