おかしな話

更新:2026年04月22日

まんまるじゃなくても、えびせんべい

新生活のあわただしさにも、少しずつ慣れてきた頃かもしれません。日々の仕事や家事の合間に、ふと一息つきたくなる時間も増えてくるのではないでしょうか。そんなひとときのおともとして、えびせんべいを選んでくださる方もいます。

愛知県の南知多は、えびせんべいづくりが盛んな土地です。山三商会でも、取引先さまのご要望にお応えしながら、さまざまな種類のせんべいをつくっています。

えびせんべいは、少し割れやすい

そのえびせんべいは、生地を型で押しながら焼き上げる「押し焼き」という方法でつくられています。

大きな丸い一枚も、ひと口サイズの小さな一枚も、えびの粉末などを混ぜた生地を型にはめて焼板に落とし、焼板どうしで挟み焼きにしています。
仕上がりの大きさや厚みは違っても、どちらも水分をしっかり飛ばした、薄くて軽い食感が特長です。

軽やかにパリッと割れる食感は魅力ですが、そのぶん衝撃にはあまり強くありません。工場から出荷されるまでのあいだに、どうしても少し欠けたり、途中で割れてしまうえびせんべいが生まれてしまいます。

「無選別」という、いろいろな形の集まり

そうして形に違いが出たえびせんべいを、ひと袋にまとめたのを「無選別」と呼んでいます。袋の中をのぞくと、丸い一枚もあれば、小さなかけらなど、大小さまざまな形のえびせんべいが、ざっくりと入っています。

大きなかたまりをそのままかじっても、小さなかけらをつまみながらお茶を飲むのも楽しい時間です。家族や同僚と分け合うときには、「この形、おもしろいね」と笑いながら、それぞれが気になる一片に手を伸ばすこともあります。

大きな丸い一枚を手でパリッと割る緊張感もなく、ちょっと肩の力の抜けた付き合い方ができるのが、無選別のよさかもしれません。

整っていなくても、同じえびの香り

丸く焼き上がった一枚には、その見た目のすっきりした印象や、並べやすさがあります。
一方で、途中で欠けてしまったかけらも、口に入れば、同じえびの香りと軽い食感を届けてくれます。

毎日の暮らしの中で、「ちゃんと仕上げなくては」「きれいにまとめなくては」と思う場面は多いものです。でも、日々のおやつのえびせんべいくらいは、形にこだわらなくてもよいのではないでしょうか。山三商会としては、まんまるな一枚だけでなく、不ぞろいになったえびせんべいにもきちんと居場所を用意しておきたいと考えています。

思いがけない一報

先日、大阪に住む知人から、「近所のスーパーで、山三商会の『山海庵』の無選別えびせんべいを見つけたよ」と連絡をもらいました。「山海庵」は、山三商会の自社ブランドです。自分たちの名前をつけた商品が、南知多を離れた街の売り場に並んでいたと聞いて、なんだかとてもうれしく感じられました。

どこかの誰かのひと休みのそばにあるかもしれない。そう思うと、えびせんべいを焼き続ける日々にも、励ましをもらったような気がしています。

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