おかしな話

更新:2026年10月01日

山三商会のこと

味覚の秋

酷暑の夏

朝夕の空気にひんやりとした気配が混じり始めると、私たち山三商会の工場にも少しずつ活気が戻ってきます。夏の盛りが過ぎ、暦の上で秋を迎えるこの時期は、実はえびせんべいにとっても季節の変わり目でもあるのです。
正直なところ、真夏はえびせんべいがあまり売れない時期です。暑さで食欲そのものが落ち、かき氷やアイスクリーム、ゼリーなどといった冷たいお菓子に手が伸びやすくなり、水分を吸収する焼き菓子は敬遠されがちです。商品の出荷量にもはっきりと表れます。梅雨明けから盛夏にかけては比較的静かな日々が続き、私たちはその間に商品開発や機械の掃除やメンテナンスを進めています。

気温が下がるとともに

しかし、九月に入り朝晩が涼しくなってくると、状況は少しずつ変わっていきます。おせんべいやあられといった和菓子は、気温が下がるにつれて自然と手に取っていただく機会が増える食べ物です。お茶を淹れて一息つく時間や、ご家族での団らんのひとときに、パリッとした香ばしいえびせんべいがよくあう季節が始まります。実際、私たちの出荷量も秋口から少しずつ右肩上がりになっていき、年末にかけての需要期へとつながっていきます。

夏場は過酷な工場

とはいえ、この時期を迎えるまでの夏場は、決して楽なものではありません。焼き上げの工程では高温の機械を扱うため、ただでさえ暑さの厳しい工場内はさらに温度が上がり、厳しい環境下での作業が続きます。冷房だけでは追いつかない現場もあり、こまめな水分補給や休憩を取りながら、スタッフ一人ひとりが体調に気を配り、互いに声を掛け合って乗り切ってきました。「大丈夫か」「無理はするなよ」――そんな言葉が飛び交う工場の中には、暑さに負けまいとするチームワークが自然と生まれます。出荷量が落ち着くこの時期だからこそできる作業もあり、決して手を抜くことなく、みんなで力を合わせて秋以降の需要期に備えてきたのです。

実りの秋

私たちの作るえびせんべいは、涼しくなった空気の中でこそ、より一層おいしく感じていただけるお菓子だと私たちは考えています。暑さの中で力を蓄え、秋の訪れとともに少しずつ動き出す──それはまるで、実りの季節に向けて準備を整える田んぼの稲穂のようでもあります。工場の中では、この時期になると気温の変化が原料の風味にも微妙に影響しますし、湿度が下がることで焼き上がりの食感管理も変化していきます。夏の暑さを乗り越えた職人たちの手つきにも、どこか秋らしい落ち着きと集中が感じられる季節です。

季節は味覚の秋へ

これから紅葉が進み、冬支度が始まる頃には、山三商会のえびせんべいも変わらない味と進化した味を皆様のもとへお届けできることと思います。暑い夏をみんなで乗り越えてきたからこそ迎えられる、味覚の秋。今年もまた、えびせんべいの美味しい季節になってきました。